HAdams作夫を求む(114)

WANTED:AHUSBANDbySamuelHopkinsAdams

(114)前回のつづき

ダーシーはこの共犯者に好感を持ち始めた。本当にいい人だ--でも若くはない。

10まで数えなさいとダーシーが助言した。その方が確実よ

男はゆっくり10まで数え初め、通路を下ってきて自分の向かい側の席がふさがっているのを見た老婦人は急いでポーターを探した。男が10と言って目を開け、非常に驚いた声を上げた時、その老婦人は自分の判断の正しさを確信した。

男の前には誰もいない。

後ろよ背後で小さな声がした。

男は振り向き、あぁ!と、いかにも安心したという声を上げた。

応接列車のドアが開きそうになったから、それで席を替わったのとダーシーが説明した。わたしが顔を見られたら、あの人たちがやって来るかもしれないじゃない

寄ってらっしゃい、見てらっしゃいと、男がおどけた口調で言った。この椅子が、たちどころに浮き上がりますぞ

詩の一節みたいとダーシーが評した。でも散文的ね

お言葉だが、そうでもないぞ。インポシブルアンドグロリアスロマンスの一節だ。詞はルイスキャロルで、音楽はローエングリン。ブリット--リング氏がチェックしてくれた

ブリットリングウェルズでも喜んで名前を貸してくれたかも

あるいはな

そのブリットリングさんが、ご自分の役目を分かってないとあっては、わたしはピンチに見舞われるかも。この車両から出なくちゃ

次の停車駅はスタンフォードです会話の最後の部分が耳に入ったらしく、通りかかったポーターが告げた。

ここから別な車両に移れない?とダーシーが訊ねた。

食堂車のずっと向こう側がいいんだ

男の如才なさに感心したダーシーは、目で感謝を示した。ここがコレア車両と食堂車の間に位置しているのなら、ダーシーの友人たちは昼食時にここを通るだろう。

展望車が後ろにありますとポーターが言った。特別料金は必要ないです

ダーシーはすぐに1ドルのチップを渡した。誰かわたしたちのことを聞いたら、ニューヘインで下りたって言ってちょうだい

分っかりました。お客さまのお名前は?

14番席と16番席の客というだけのこと

幸いなことに、観覧車両には半分隠れた部分があった。そこに腰を落ち着けると、両者はほっと息を吐き、互いを見やった。

つづく